ハイブリッド環境で二次アドレス帳を使う
Notesを利用されている企業は、比較的規模の大きい会社が多いと思います。そんな中で、グループ会社も別のNotes環境(ドメイン)を持っていて、アドレス帳をお互いに連携しあっていることもあるのではないでしょうか。
Notesの世界で、別ドメインのアドレス帳を配置して宛先選択ダイアログに出すことを、「二次アドレス帳を使う」などと表現しますが、今回はそれをSCNotesの世界で実現する方法について見ていきたいと思います。
オンプレミス環境での二次アドレス帳の設定
こちらについては、従来のNotes環境と同様なので、それほど細かく記載することはしませんが、おおまかな流れとしては以下のような作業を行います。
① 連携先ドメインとの相互認証
② 隣接ドメインの設定
③ アドレス帳の配置、接続文書の設定
④ ディレクトリアシスタントの設定
上記を行うことで、宛先選択アイアログのプルダウンに二次アドレス帳が追加されます。
しかしユーザーがSCNotesの世界に移行すると、ホームメールサーバーがクラウドのサーバーとなるため、そのままでは二次アドレス帳が単純に表示されなくなります。
次に、クラウド側で必要となる設定について見ていきましょう。
クラウド側の設定
まずはConnections Cloudに管理者権限でログインし、SCNotesの管理画面を開きます。
その後、「ディレクトリ同期サーバー」の設定を開きます。
ハイブリッド環境を構築済みの場合、既に自社のアドレス帳が1行同期済みとして表示されますが、ここに二次アドレス帳を追加していきます。
「Dominoディレクトリの追加」ボタンをクリックすると、二次アドレス帳の配置先サーバーと二次アドレス帳のファイルパスを聞いてきますので、入力します。
二次アドレス帳ユーザーをもとに、SCNotes側への登録などを行わない場合がほとんどかと思いますので、「このDominoディレクトリをユーザープロビジョニングに使用しない」にチェックを入れて保存します。
保存時に以下のダイアログが出ますが、「OK」をクリックします。
すると、ディレクトリ同期サーバーの設定に一行追加されました。しかしまだ同期状況はエラーになっています。
次に「ドメイン設定ツール」に移動して、「ダウンロード」ボタンをクリックします。これにより、オンプレミス側に必要な設定の追加を自動で行うことができます。
ダウンロード後、Notesクライアントでツールを開き、「サーバーの構成」ボタンをクリックします。
クラウドとの同期が成功すると、以下の通り同期状況が「OK」となります。
二次アドレス帳のアクセス制御設定などに不備があるとエラーになりますので、その際はアクセス制御リストを修正してください。
二次アドレス帳をSCNoetsで使う際の見え方と注意点
さて、ようやく二次アドレス帳が使える準備が整ったので、どのように宛先選択に表示されるか見ていきましょう。まずは通常のNotesクライアントからのメールや、SmartCloud Notes Web (iNotes)から見た場合です。
オンプレミス環境の場合、プルダウンで二次アドレス帳を選択して絞り込むことができましたが、SCNotesの場合はすべて、「Company Directory」というアドレス帳に統合されてしまいます。この中に自社と他社のユーザーが混ざるので注意してください。
次に、IBM Verseから二次アドレス帳をどのように選択するかですが、
このように、宛先入力欄で途中まで入力すると候補が出てくる、といったタイプアヘッド方式での検索になります。宛先選択ダイアログは利用できないので、こちらも注意してください。
さらに、一番注意していただきたいのは次の点です。
今回、SCNotesのハイブリッド検証環境Aに対して、SCNotesハイブリッド検証環境Bで使っているNotesドメインを二次アドレス帳として連携させてみたのですが、一向に環境Bのユーザーが宛先選択画面に表示されませんでした。おかしいなと思い調べたところ、わかったのは、「既に別のSCNotes組織でプロビジョニングされたユーザーは、二次アドレス帳ユーザーとして別組織で使うことができない」ということです。(プロビジョニングされていなければOK)
ちょっとややこしいのですが、例えば二次アドレス帳連携しているグループ会社が既にSCNotesを使っているような場合、その会社のユーザーはアドレス帳に追加できないのです。これは後々物議をかもしそうな仕様ですが、現時点(2017年2月時点)での制限事項になります。
今のところは幸い(?)それほどSCNotesをグループ会社全体で使うような事例が少ないので、この点があまり問題視されていないのかもしれませんが、大規模環境でIBM Verseへ移行して、これまで通りのアドレス帳利用環境が必要とされる場合は注意しなくてはいけません。
以上、なんだか注意だらけの二次アドレス帳実装編でした。