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遅れてきたNotesエンジニアがクラウド活用について思いを巡らすブログ

ビジネス+IT 「Notesどうする?覆面座談会」の裏話

以前、SBクリエイティブ株式会社さん主催の「Notesマイグレーションセミナー2016秋」に登壇させていただいた話を書きましたが、その続編のWeb座談会が、先日ビジネス+ITさんに掲載されました。

 

www.sbbit.jp

 

私の発言箇所は、会員登録してログインしないと見られないという焦らしっぷりとなっております。登録自体は無料なので、ご興味のある方はご覧ください。

 

 

さて、記事の紹介だけになってしまってもアレなので、当日の座談会の様子の裏側を少し書いておこうと思います。

 

とある平日の18時、六本木にあるSBクリエイティブ株式会社さんのオフィスに集合しました。メンバーは、セミナ-同様、キメラ総研の河村さん、ドリームアーツの栗木さん、私、そして今回新たにユーザー企業様3名がご出席でした。そこに、会の進行や、記事用のメモを取るSBクリエイティブ株式会社さんの記者さんが同席している、という図式です。

 

ユーザー企業さんは、かなり大企業でまだNotesをご利用中、ただし今後どうするか迷われているという企業から2名、とうの昔にNotesをやめて憑き物がとれたような清々しいお顔をされている企業の方1名、という感じでした。

 

 

 

R5以前のNotesの悪しき記憶

既にNotesをやめられた企業さんから、「Notesを使っていた当時は毎朝Dominoサーバーが動いているか?というところにハラハラしている日々だった。それがなくなっただけでもだいぶ違う」という言葉がありました。8.5以降のバージョンのお客様を見る限り、今は安定稼働されているところがほとんどですが、こういった悪しき記憶を話される方は結構います。この方も全然悪意などなく、本当に、悩まされたんだと思います。。旧バージョンは、もちろんDomino自体にも悪いところはあったんでしょうが、OSや基盤側も未成熟な部分が多く、問題は確かに起こりやすかっただろうと思います。その点が十把一絡げにNotesの嫌な思い出として不意に出てきてしまうところが結構、Notesのイメージを悪くしているんだろうなぁと思います。

 

 

NotesのDB、まだ動いちゃうんですよね

まだNotesを使われているお客様からは、ポロっと、移行を検討しているけど、「NotesのDBがまだ、動いちゃうんですよね。。なので、かえって刷新するきっかけがない」というような話も出ていました。NotesDBって、結構バージョンまたいだ互換性高いですよね。実際、プログラムのメソッドやプロパティレベルの仕様変更でDBが動かなくなった経験は、ほぼ私にもありません。それが、かえってマイナスに受け取られているというのはなんという皮肉な話!確かに動かなくなっちゃえば、作りかえたりせざるをえませんが、動くものにお金出して手を加えるのは、ハードル高いのかもしれませんね。それにしても、高い互換性が、かえってレガシーなUIを残し、ひいてはNotes全体のイメージを古臭いものにしてしまっているというのはなんとも残念と言わざるをえません。

 

座談会では思わず、「あの-、動くこと自体は悪くないと思いますよ?」とちょっと大きめな声で言ってしまいました。(この様子はカットされております)

 

Notes移行を検討する最大の要因=モバイル対応

座談会の途中、そもそもNotesの何が悪いから移行を検討しているのかが曖昧なまま話が進んでいたので、思い切って聞いてみたところ、ユーザー企業様として一番問題視しているのは、モバイルへの対応でした。

すなわち、「Notesはモバイルから使えない」という、いたってシンプルな話です。

 

これに異論を唱えたい方は大勢いると思います。今やXPagesなどの技術もだいぶ進化し、NotesDBをモバイル化できる方法はいくらでもあります。しかし、それが、ほどほどの価格で、スピーディに実現できるか?という点では、少し疑問が残るのではないでしょうか。掲示板レベルならまだしも、それが基幹系と連携するDBなどであった場合、また、仕様がブラックボックス化しているような場合、そもそも対象のDBが数万ある場合。。ベンダーとしても見積の段階でどうしてもリスクを積まざるをえず、結果、訴求力の低い価格になりがちではないかと思います。

 

この点は、スクラッチ開発を必要とせずWeb化が可能な「Smaconne」や「Aveedo」などの製品がもっと賢く活用されるといいのにな、と思います。

 

さらに、ずっとNotesクライアント一本でやられていたような会社の場合、モバイル=Webで使うためのインターネットパスワードの付与、管理というインフラ面での宿題ものしかかります。これが、最初からWebベースのシステムなら、そのあたりは当然考えなくていいので、余計腰が重くなる原因なのかもしれません。

 

それに追い打ちをかけるように、「Notesを外から見るためにはVPNで社内につないで、Notesクライアントを立ち上げなくてはならず、スピード感に欠ける」「新幹線でトンネルに入ると切れちゃって大変」みたいな社内システムあるあるエピソードが入ってくると、だんだんNotesという製品そのもののイケてなさではなく、セキュリティポリシーやネットワークの問題もひっくるめて「Notes使いにくい」みたいな話になりがちで、こうなるともうこちらとしてはマウントポジションを取られたも同然、苦笑いしながら「それは、ちょっとグループウェアがどうこうというより社内ITの総合的な課題ですよね。。」とでも言うしかありません。

 

 

対談では、そこまでドロドロした内容は書かれてなく、記者さんのスキルで綺麗にまとめられていますので、このブログを読まれているような方には少々物足りない議論になってしまっているかもしれませんが、私としては上述したような課題がずしーんとのしかかってきた夜なのでした。